リコー杯プロ棋士ペア囲碁選手権
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囲碁界の一年を締めくくる恒例のリコー杯プロ棋士ペア囲碁選手権2003が今年も、去る12月7日(土)、東京・恵比寿ザ・ガーデンホールにて開幕した。
トッププロを集めての華やかな戦い。昨年の優勝した祷・趙ペアを除いては、10月7日の抽選会にて組み合わせが決まった計16組である。
1・2回戦は16組によるスイス方式、準々決勝戦以降はトーナメントで勝敗が争われる。全試合が公開対局でファンにとっては至近距離で棋士の姿を見られるのが本大会の大きな魅力の一つとなっている。
開会式に合わせて棋士が続々とやってくる。ペア同士「今日はよろしく」と挨拶する風景の中、一番の注目株は山下敬吾七段だった。
「どうしたの、それ」
皆がビックリしたのは彼の髪型。ツンツンと上に向かって立ち上がっている。ベッカムヘアのような、どこかのロック歌手のような…。まさか寝癖では、という疑惑に必死の弁明。
「違います。美容室でやってくれたんです。僕、生まれて初めて美容室に行ったんです。これまでずっと床屋だったんですけれども。そしたらこんな髪型にしてくれたんです」
説明を聞いて、一同なるほど、と納得。
「いや、なかなか似合ってるよ」
賛辞が集まる。
ペアの相手、中沢五段は自分で作った綺麗なビーズのネックレスをしていたが、山下七段にはお手製のビーズで出来たブローチをプレゼント。それを胸につけたところ、皆にひやかされ、すっかり照れていた。
さて、12時より開会式。
吉国一郎(財)日本ペア囲碁協会会長の挨拶に続き、壇上に立ったのは審判長の呉清源九段。 先日、中国で新聞記者に「囲碁とは何か」を問われた話を引き合いに、
「囲碁とは何か。私の考えでは、これは易を解説するものです。では、易とは何か。これは陰陽、両性の性質を解説したものです。では、陰陽とは何か。これは神がお作りになった自然の摂理、生命の根源です。陰陽のルールに従えば、幸せと調和が得られる。男女が一緒に愉しむペア碁は、この陰陽の思想に合致するものです」
と、スピーチ。引き続き、呉九段より対局開始の宣言がされ今年のリコー杯が開幕した。