Pair Go
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Pair Go 第20回 国際アマチュア・ペア囲碁選手権大会 The 20th International Amateur Pair Go Championship

特別協賛:JR東日本・日立製作所・日本航空               
本戦・荒木杯ハンデ戦 レポート

2009年11月15日(日) 本戦第2回戦以降、ハンデ戦
November 15th (Sunday) The 2nd game, The Handicap games

〜 開会式 〜
抜けるような晴天に恵まれた大会二日目。この日は荒木杯ハンデ戦も平行して行われ、会場の東京千代田区ホテルメトロポリタンエドモンドは、早朝から四百人近い参加選手たちで賑わった。
ハンデ戦の対局会場には小学生ペアも多く、正装した子供たちが、いつもと違う雰囲気の中、緊張した表情で対局開始を待っている様子が微笑ましい。開会式会場の片隅では、田中紗月・田中信拓ペアが仲良く選手宣誓の練習をしている姿も見受けられた。

ハンデ戦受付



ハンデ戦受付



来賓席


さて、司会は、前日に引き続いての稲葉禄子さんとジョン・パワーさん。開会式会場の音声は、何部屋にも分かれたハンデ戦対局会場のスピーカーにもつながっている。
はじめに、財団法人日本ペア碁協会理事・事務局長の滝裕子が登壇した。
「ペア碁は今年、成人式を迎えました。変わらずご支援いただいておりますJR東日本様はじめ、スポンサー各社の皆様に感謝申し上げるとともに、ペア碁を愛し育ててくださった世界中のファンの皆様に感謝いたします。第一回大会より、本大会にご招待した国は、67カ国を数えます。今年の国際アマチュア・ペア碁選手権大会本戦には、22カ国・地域から32ペアが参加し、昨日は第一回戦が打たれました。ハンデ戦には、5歳から88歳まで152組が参加されます。昨年北京で開催された第一回ワールドマインドスポーツゲームズへの正式参加や、世界ペア碁協会設立など、囲碁普及のためと始めたペア碁が、このように世界中の皆様に愛されて発展し、今日またこうして皆様と一緒に20周年を迎えられることは夢のようでございます。今日もどうぞ碁の奥深さを楽しんでいただけますように」

大会開始宣言 滝 裕子 日本ペア碁協会理事・事務局長



審判長 ご挨拶と競技説明 二十四世本因坊秀芳



審判長二十四世本因坊秀芳と小川誠子六段、
審判団マイケル・レドモンド九段と審判



選手宣誓 近畿代表(田中紗月/田中伸拓 ペア)



選手宣誓 トルコ代表(ネスハリングッチ/フスレヴアクスット ペア)


民俗衣裳に身を包んだトルコペアと、日本の田中ペアの選手宣誓(田中ペアは練習の成果抜群!)に続いて、大会審判長の二十四世本因坊秀芳が対局開始宣言のためにご登壇。 「今日11月15日は「イイ イゴ」の日です(場内笑)。11月15日の日曜日は、7年に1度しか来ません(場内大笑)。全員勝つのは無理ですが、「イイ イゴ」は打てます。内容のイイ碁、気分のイイ碁、……イイ碁にはいろいろあります。皆さん、イイ碁を目指してがんばってください。それでは、対局をはじめてください!」

本戦及びAブロック会場


〜 二回戦・三回戦 ハンデ戦(荒木杯) 〜
10年ぶりの優勝を目指す日本勢の前に立ちはだかるのは、まず韓国ペア。それから中華台北ペアも気になる存在だ。林さんは、国内女子学生チャンピオン。王さんは世界アマチュア選手権台北代表大会で2位の実力。二人の息は、一回戦でもピッタリ合っていた。二回戦のロシア戦は「ずっと形勢はよかったけれど、相手は強かった」と局後の王さん。3目半勝ちにホッとしながらも、気持ちを引き締めた様子だった。

樫原衣里子・西谷伴久ペアは、ドイツ戦を制した。「危ない場面もありました」と樫原さんは明るい笑顔で「次もがんばります!」

小田彩子・永代和盛ペアはオランダ戦に勝った後、「男性が強かった」と言う小田さんに続けて「僕は弱かった」と永代さんが笑った。そして「前回参加したときはアジアのペアとしか打たなかったので、ヨーロッパの実力がわからなかったのですが、強いですね」と感心しきりだった。
とはいうものの、かくして二回戦は、アジア勢が強さを見せつけ、ヨーロッパ勢の連勝をストップさせていった。

ハンデ戦に目を移そう。最年少ペアは、詫間遥ちゃん(8歳)と依田大空くん(5歳)。「はるかなおおぞら」とは、名前の相性も前途洋洋。大空くんは依田紀基九段の次男で、この日お母さんに徹して「保護者で来ました」と笑う原幸子四段は「年齢だけじゃなくて、棋力も弱小なんですよ」。ところがどっこい、早くも2局打ち終えた大空くんは、広いロビーをスキップして回っている。原四段は「勝ったらしいです。わかりやすいですね」

Bブロック会場



Cブロック会場



ジュニア・親子初心者ブロック会場


さて、本戦会場に戻ると・・・・・・連勝ペア同士が当たっていくスイス方式で迎えた三回戦は、連勝ペアがそろそろ「優勝」を意識し始め、緊張も高まる頃だ。
小田・永代ペアは、中国ペアとの対戦となった。「女性はなかなかの打ち手」と教えてくれたのは、王汝南八段。かつてプロを目指したこともあり、現在は中国棋院の職員をしているそうだ。勝負師としても「なかなか」で、一回戦・形勢の悪かったカナダ戦では、相手の時間切れに追い込んで白星をつかんでいる。はたして、小田・永代ペアも持ち時間が5分を切り、ギャラリーはドキドキ。アマにとっては難解なヨセを全てノータイムで打っていかなければならない。しかし、二十四世本因坊秀芳によれば、「形勢が悪かった碁を、ヨセでグイグイ迫って、とうとうひっくり返した」。そのまま逃げ切りゴールイン。地力の差で中国ペアを下した。ちなみに、小田さんは昨年の女流アマチュアチャンピオン。永代さんは元院生の強豪。日本勢の中でも最も大きな期待を背負っているペアだ。

一番ギャラリーを集めていたのは、吉田美穂・窪庭孝ペアと韓国ペアの一戦。吉田さんは今年の女流アマチャンピオン。窪庭さんはやはり元院生の強豪だ。実力伯仲の激戦は、終盤近くに韓国ペアが勝負手を放ちますます難しい局面に。窪庭さんの表情にかげりが見え始めた。両者ぎりぎりまで時間を使い、三回戦の中で最後まで打ち続けられた死闘の軍配は韓国ペアに上がった。

樫原・西谷ペアは中華台北に時間切れ負け。西谷さんは「時間が切れていなくても、負けていました」と唇をかみしめた。

日本勢同士の戦いとなった久代迎春・久代俊明ペアと田中沙月・田中伸拓ペアの夫婦対決は、久代ペアが白星。終局後、対局者4名は、和気あいあいといつまでも検討を続けていた。

くじ運悪く、初戦から強敵とぶつかって勝ちに恵まれなかった武久喜代美・内田直也ペアは、トルコペアに初勝利。「ようやく勝てました」と武久さんは胸をなでおろした様子。「5級と初段だそうですが、とてもとても。もっとずっと強かったですよ」
スロバキアペアに勝ち二勝目をあげた糸井庚代子・福田覚ペアは、終局後スロベニアの選手に、和服姿の小さなウサギの人形をプレゼント。京都らしいお土産を、二人は「おぉ〜!」と両手で握り締めていた。
いよいよ、優勝争いが絞り込まれてきた。三戦全勝ペアは、次の4組。昼食休憩をはさんで、決勝進出をかけた戦いが始まる。


さて、ハンデ戦は、152ものペアが参加し、棋力別にクラスが分かれている。人数の多いBブロックでは、全勝しても3位までに入れないこともあるという(採用されているスイス方式は、対戦相手の戦績も計算されて順位を決定する)。また、今年も囲碁初心者ブロックが開催され、入門指導と13路盤での親子ペア対局が行われた。大垣結花さんが指導にあたり、まず、「ポン抜きビンゴ」で子供たちと遊ぶ。緊張のとけた子供たちは早く碁を打ちたい様子。その後、親子ペア、おじいさんと孫ペアが、打つ順番を間違えないように注意しながら、何局も対局を楽しんだ。

会場風景



子供ペアも会場のあちこちに



パンダネット体験コーナー


注目の4回戦。全勝対決の気になる組み合わせは・・・
韓国ペアVS中華台北ペア
小田・永代ペアVS久代迎春・俊明ペア
「ということは、必ず日本が決勝に行かれるということだね。よかった」と、二十四世本因坊秀芳は早くも「日本勢優勝」に期待を込める。

韓国ペアと中華台北ペアは、韓国ペアが勝利。中華台北ペアの王さんは「布石で失敗して…途中までチャンスはあったのですが、流れをつかみきれませんでした」、林さんは「決勝戦に出られなくて残念です。でも、とても楽しい大会でした」と振り返った。

日本対決は、小田・永代ペアに軍配。永代さんは「約束どおりここまで勝ちあがりました」と」にこやかに語り、「決勝戦もがんばります!」
惜しくも敗れた久代さんペアは、その後の五回戦にも勝ち四勝一敗の好成績で三位入賞。俊明さんは「この結果には満足しています」と語った。

〜決勝戦 〜
そして、いよいよ決勝戦である。対決の場は、個室に移され、五回戦より1時間遅らせてスタート。対局開始からややあって、二十四世本因坊秀芳と小川誠子六段による大盤解説、さらに別室ではマイケル・レドモンド九段による英語大盤解説がスタートした。
小川「小田さんと永代さんは、対局前から気合が入ってましたよね」
石田「気合が抜けてたらしょうがないですよね」
お二人の息の合った軽妙なやり取りに、会場は最初から笑いに包まれた。

小川六段の言葉どおり、布石は両者の気合が満点。左上では新型が出来上がった。このあたりの攻防には、二十四世本因坊秀芳が「お互いに新型に面食らったような打ち方ですね」と辛口コメント。
続いて、右下で難解な折衝に突入する。この結末は、一見すると黒番(日本ペア)が不利なようだが、二十四世本因坊秀芳は「黒満足の分かれ」と裁定した。ところが、小田さんも永代さんも(そして、韓国ペアの二人も)「白よし」だと感じていたという。「この後、普通に打っても勝てない」と非勢を意識した日本ペアが次々と勝負手を放っていく。二十四世本因坊秀芳によれば、これが敗因となった。
「いつの時点でも右辺の白1子を取り込んでしまえば、黒は優勢だった」(石田)ところを、この白石に動かれてしまう。すると右辺に莫大な白地が出現。右上の黒も弱い姿となる。形勢は一気に白に傾いてしまった。
「ここまでくると・・・黒が勝つのは相当難しい」と二十四世本因坊秀芳が残念がった頃、日本ペアは無念の投了。韓国代表のソンイェスル・イサンホンペアが見事五戦全勝して優勝を決めた。

本戦優勝決定戦大盤英語解説会マイケル・レドモンド九段



本戦優勝決定戦大盤解説会 二十四世本因坊秀芳、小川誠子六段



解説会場は超満員



優勝決定戦進出 韓国ペア



優勝決定戦進出  関東甲信越地区代表ペア



優勝決定戦



両者一歩も引かない


小田さんは「息が合わなかったかな〜」。これに永代さんは「いやいや、そんなことはない。決勝戦の5つの悪手のうち、4つが僕でした」。加えて「気負いすぎました。ずっと悪いと思っていて、いろいろやったら全部悪い手でした」と苦笑し、「でも、思い切りやったので、悔いはありません」と、最後には爽やかな笑顔で準優勝を喜んだ。

優勝のイさんは「嬉しい」と笑顔を見せ、ソンさんは「優勝できるかなと思っていましたが、やはり本当に優勝できると嬉しいです。今回の大会では3回戦(対吉田・窪庭ペア)が一番厳しかった。決勝戦も緊張しました」と話してくれた。

改めて、第20回アマチュア・ペア碁選手権大会の結果をご覧ください。
本戦結果を見るにはこちら


【優勝ペア】 イ サンホン ・ ソン イェスル(韓国代表)

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