＜ ２回戦　＞

〈【白】謝依旻女流本因坊 ・王銘エン九段 対 小西和子八段・小林光一九段【白】〉
中盤で謝女流本因坊の独創的な手が出て、石田九段が、「50年やってきて見たことない」と驚いていた。王(銘)九段とは、普段から研究会で教わっている仲である。物怖じしないで、のびのび打って、２回戦も順調に勝ち上がった。

〈【黒】万波佳奈四段・山田規三生九段 対 大沢奈留美四段・坂井秀至碁聖【白】〉
坂井碁聖は、対戦相手の棋譜を徹底的に研究するタイプだそうだ。ペア碁ではそうもいかないが、終盤がめっぽう強いから安定している。石田九段が、「ヨセ勝負になりそう」と言っていたので、坂井組が有利かと思われたが、結果は万波(佳)・山田ペアが勝って準決勝に進出した。

〈【黒】鈴木歩五段・結城聡天元 対 万波奈穂二段・二十五世本因坊治勲【白】〉
二十五世本因坊治勲は３年前に大沢四段と組んで優勝している。石田九段は、「昔は女性が打った手に驚いて飛び上がったりしていたが、最近はおとなしくなった」と、二十五世本因坊治勲と仲がいいだけにネタは尽きない。万波(奈)二段も、「優しくて、楽しく打てました」と感想を述べていたが、この碁は相手が強過ぎて敗退。鈴木・結城ペアが準決勝に。

〈【白】青木喜久代八段・蘇耀国八段 対 知念かおり四段・羽根直樹九段【黒】〉
中盤で、知念・羽根ペアが優勢で、「ほとんど中押し勝ち」と石田九段が断言していたが、突然の乱調に。大石が取られて大逆転である。「信じられない！」と石田九段が呆れていたが、ペア碁は一旦乱れると止まらなくなることもある。青木・蘇ペアが運も味方に付けて生き残った。

＜ 準決勝戦 ＞

〈【黒】謝依旻女流本因坊・王銘エン九段 対 万波佳奈四段・山田規三生九段【白】〉
王(銘)九段が石を捨てる大胆な作戦に出て、謝女流本因坊も呼吸を合わせて猛攻に参戦。攻めに攻め続けて、万波・山田ペアを翻弄した。本命の一つ、謝・王(銘)ペアが決勝に進出した。
敗れたペアの山田九段は、「棋風が似ていて打ちやすかった。３局打てて満足ですが、負けるとやっぱりつらい」と感想を述べていた。万波(佳)四段は、「相手の迫力に押されて、いつ死ぬかと思って打っていました。これだけやられたら、かえって気持ちいいくらいです」とすっきりした様子だった。

〈【白】鈴木歩五段・結城聡天元 対 青木喜久代八段・蘇耀国八段【黒】〉
ここまできたら、決勝に行きたい。石田九段が、「ペア碁で優勝すると、人格がいいように思われる(笑)。碁の実力以外も評価してもらえる」と言っていたが納得である。青木・蘇ペアが優勢で、「逆転はしません」と石田九段が断言していたが、勝負所で決め損なって後半勝負になってついに逆転、鈴木・結城ペアがしぶとく勝ち残った。経験を積んでいるだけあって、なかなか負けないペアである。

鈴木歩四段・結城聡天元
鈴木四段「アジア大会より、うまく打てました。広州では悔し涙を流しましたが、今回はユニホームを着てきた甲斐がありました」
結城天元「広州ではぼくの判断ミスで負けて、夢にまで出てきました。今回は勝ててよかった」
鈴木四段「決勝の相手は強いけど、簡単には負けないつもりで打ちます」
結城天元「ヨセになれば鈴木さんが強いので頼りにしています。準決勝のように粘り強く打って、優勝を狙いたいと思います」

謝女流本因坊/女流名人/女流棋聖・王銘エン九段
謝女流本因坊「前回は１回戦で負けましたが、今回は勝ててホッとしています」
王(銘)「張栩さんにペア碁の心得を教わったのですが、負けたら男の責任と言われてプレッシャーでした。でも、ぼくは張さんほど強くないので、負けたら謝さんのせいにしようかと思って(笑)。謝さんのおかげで決勝まで行けてうれしいです」
謝女流本因坊「３回目の決勝なので、３度目の正直にしたいです」
王(銘)「頑張ります」