リコー杯プロ棋士ペア囲碁選手権
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■リコー杯 準々決勝・準決勝
リコー杯プロ棋士ペア囲碁選手権2001の準々決勝、準決勝戦は12月9日、東京・江東区のTFTホールで行われ、楠光子七段・依田紀基名人ペアと大沢奈留美二段・林海峰九段ペアが勝ち上がった。4棋士ともに初の決勝進出。この日は1・2回戦にも増して内容の濃い対局に、500人を超える観戦者も固唾を飲んで進行を見守っていた。

再び和服の依田名人
対局前の控え室に一人、また一人と出場者が集まる。まだ雰囲気は和やかさを残しているが、トーナメント戦は回が進むごとに緊張感はどんどん増してくる。そこに依田紀基名人が前回とおなじ和服姿で現れた。すかさず声をかける大竹英雄九段。
「おお、気合入ってるじゃないか」
「ち、違うんですよ……」
恥ずかしそうに返答する依田名人。後ろを歩いていた幸子夫人に事情を聞くと、「きのう名人就位式があって、そのときに着たんです。『ついでだから同じ服でいいや』なんて思いまして」と笑って答えてくれた。こんなリラックスムードは依田名人ならではだ。
もっとも、対局が始まると雰囲気は変わる。立ち合い兼大盤解説役の工藤紀夫九段が準々決勝開始の合図を送ると、対局場の空気がいっぺんに張り詰める。大竹九段がスタッフに小声で話しかけた。ひざ掛けの注文だった。対局中は血液が頭に集中する。体温保持のために「ひざ掛け」は大竹九段の必需品なのだ。