リコー杯プロ棋士ペア囲碁選手権
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■リコー杯 決勝戦
リコー杯プロ棋士ペア囲碁選手権2002決勝戦は、2002年1月27日(日)東京恵比寿の恵比寿・ザ・ガーデンホールにて朝から雨にも関わらず約700名の観客を前に行われ、祷陽子五段・趙治勳王座ペアが楠光子七段・依田紀基名人ペアに先番二目半勝ちした。終局して勝利がわかると趙王座がガッツポーズ。隣の祷陽子五段と固い握手を交わした瞬間、会場のファンからは大きな拍手が沸き起こった。決勝戦の模様をお伝えしよう。
対局開始前、用意された控え室のドアを楠木・依田ペアは固く閉めて作戦会議。「面会謝絶」の意思表示かとも思われたが、恐る恐るドアを叩いてみた。
二人は、棋譜を見ながら碁を検討している最中。どうやら棋譜は祷・趙ペアのものらしい。
――作戦会議中ですか?
依田「いえ、それほどのことでは…。ただ一応、傾向と対策を練っておこうと思って」
――今日の調子は、いかがでしょうか。
依田「前回から考えれば8連勝中ですからね。負ける気がしないんです」
 楠「依田さんとだと安心して打てるんですよね。一人では勝てないのに、二人だと、どんどん勝ててしまって。感謝してます」
依田「あのね、実は楠先生って、僕のお母さんに雰囲気がそっくりなんですよ。それでなんだか、落ち着けて打てるのかなあ。碁は本格的な碁だし本当に打ちやすいんです」
対する祷・趙ペアの部屋を覗くと、こちらはもぬけの殻。どうやら「部屋に二人っきり」というのが恥ずかしいらしい。写真を撮るのでと、お願いして部屋に収まってもらった。
――隣は作戦会議中でしたが…。
 趙「えっ、そうなの。でも僕たちはもう完璧ですから。祷さん頼りにしてますから」
 祷「やり過ぎないように気をつけます。でも、本当に趙先生と打てるだけで嬉しいんですよね」
はじめはソワソワしていた二人だが、写真用に碁盤に石を置いてもらっているうちに二人で一局打ち出してしまった。両者無言でひたすら打ち進めている。祷さんも趙王座も、勝負師の顔になっていた。