世界を変える
マインドスポーツ

ペア碁が拓く未来

ペア碁®とは

ペア碁、それは世代も性別も国境も越えて人と人を結ぶ、
開かれたプラットフォーム。
ペア碁では、男女がペアを組み対局します。ペア間では相談ができません。
このルールのお陰で、相手の意図だけでなく、
味方の意図まで読むことが必要となります。
二人対二人だからこそ生まれる、
競技としての奥深さ、そして協働と対話の面白さ。
個人戦とは異なる視点で一手の重みを見つめ、
意外な着手に戸惑い、感心し、驚く。
その体験から、新しい囲碁の魅力が誕生します。
ペア碁は更に、学び・交流・地域づくり・国際親善といった活動を通じて、
人をつなげることを目指します。
ペア碁はこれまで、国内・国際大会の開催を通じて女性参加の拡大に貢献し、
国際的な親睦の輪を広げてきました。
父娘・母子・夫婦・兄妹・姉弟・友人……
多様なペアが生まれ、囲碁を通じたコミュニケーションを豊かにしてきました。

ペア碁は、今後も人をつなぎ、可能性をひらくために前進していきます。

ペア碁を創案し、
ペア碁を育てた、
二人からのメッセージ

「ペア碁」の創案

滝 久雄

ペア碁創案者
文化功労者
(公財)日本ペア碁協会 名誉会長・評議員
世界ペア碁協会 名誉会長

東京科学大学 名誉博士
(公財)日本ペア碁協会「ペア碁をオリンピックの正式競技にする会」代表幹事(統括)
(株)ぐるなび 取締役会長・創業者
(株)NKB 取締役会長・創業者
全日本学生囲碁連盟 会長

わが国には古くから囲碁の楽しみ方として、碁盤を二つ並べて複数の人が交代で打つ「連碁」がありました。その連碁を女性たちも気軽に楽しむ様子を見たときに、この雰囲気を囲碁の普及・拡大のエネルギーとして活かせるのではないだろうかと思ったことが、私が「ペア碁」を創案することの始まりでした。

連碁には勝負を気にせずに複数の人が参加できるエキシビションゲームとしての楽しさがあります。この複数で打つという楽しみに勝負を競うという面白さを加えられないだろうか。そう考えたときに、連碁にはウィークポイントがあることに気づきました。それは、隣の人が打った手を目の前の碁盤に自分も並べるという作業を必要とすることです。ゲーム中に左脳を使うことになり、勝負事としての意味合いが減じてしまいます。

その左脳の作業を無くせないだろうかと考えた末に生まれた構想が、一つの碁盤を使って二人対二人で対局するペア碁でした。これなら、勝負脳ともいえる右脳だけでゲームが進行できます。しかも、ペアで合計四人が打つので戦局の変化も大きくなり、パートナーの考えまで読まなくてはならないという面白さもあります。

こうして私は、ルールを定め、男女のペア同士が対局する「ペア碁」を新しいゲームとして1990年に発表しました。今後も一層多くの人たちに親しまれることを、私はゲームの生みの親として強く願っています。

「ペア碁」を世界へ

滝 裕子

(公財)日本ペア碁協会 筆頭副理事長
世界ペア碁協会 副会長

(公財)日本ペア碁協会「ペア碁をオリンピックの正式競技にする会」代表幹事(海外担当)
(一社)全日本囲碁連合 会長
国際囲碁連盟 理事

日本生まれのペアゲームとして「ペア碁」が誕生し、1990年に最初の大会「第1回 国際囲碁アマチュア・ペアトーナメント大会(NKB杯)」が開催されたときから、日本そして海外でのペア碁の普及に取り組んできました。

これまでに、公益財団法人日本ペア碁協会、世界ペア碁協会の設立、2010年「第16回アジア競技大会」での正式種目への採用、「ペア碁ワールドカップ」の開催などもあり、ペア碁ファンの裾野は大きく広がり、現在では世界78カ国・地域(2025年12月時点)で楽しまれるようになっています。

ペア碁は、パートナーの棋風をよく理解し、対局中はパートナーが打った手を尊重して最大限に活かすというように、パートナーを思いやることを大切にするゲームです。しかも、囲碁は言語を使わずにコミュニケーションができ、ペア碁はペアを組む二人の実力を考慮することによって対等な対局が楽しめます。それらの長所から、ペア碁はグローバル社会で言葉も国境も越えてよき交流を生み、国際平和の実現にも大いに貢献できます。

そのようなペア碁の魅力を伝え、今後も世界の各国でより多くの人に親しまれるマインドスポーツとして育っていくように取り組んでいきたいと思っています。

ペア碁を
応援してくださる
皆さま

ペア碁は、世代や国境、経験の差を越えて、互いに尊重し合い、対話しながら新たな一手を紡いでいく、まさにマインドスポーツの真髄です。勝敗だけでなく、信頼と協調を育むこの競技は、人と人を結び、社会に温かな連帯を生み出します。教育・福祉・国際交流・多様性推進など幅広い分野への貢献が期待されるところです。ペア碁の輪が広がり、未来を担う子供達や多くの方々に、挑戦と共感の喜びが届くことを願っています。

橋本 聖子

参議院議員
公益財団法人日本オリンピック委員会会長
オリンピアン

国際的に日本囲碁界を代表する唯一の団体である全日本囲碁連合(構成団体:日本棋院、関西棋院、日本ペア碁協会)が、2025年11月13日に、公益財団法人日本オリンピック委員会(JOC)の承認団体に認められ、「マインドスポーツ」としての確かな一歩を踏み出しました。

ペアが華やかにおしゃれをして、年齢も性別も関係なく二人が外面的にも内面的にも一つになって繰り広げる真剣勝負。無限に広がる盤上の空間には、研ぎ澄まされた美意識とドラマがあります。囲碁を通して心を通わせ、見事なチームプレーで対戦ペアとの交流を育み楽しむ。国や言語を超えた素敵なコミュニケーションは、粋なつながりを感じる光景です。ペア碁がますます世界に広がり、盛り上がっていくことを期待しています。

コシノジュンコ

デザイナー
文化勲章受章者

ペア碁は1局の碁を4人で創り上げていくゲームで、想定を超える局面になる事も多く、普段の対局とは違った面白さ、難しさがあると感じます。いろいろな考え方に触れる事で学びも多く、パートナーと共に一つの目標に向かっていく、魅力的なゲームだと思います。ペア碁の更なる発展をお祈り申し上げます。

井山 裕太

国民栄誉賞受賞者
碁聖
二十六世本因坊文裕
名誉称号資格者(棋聖・王座・天元・碁聖)

ペア碁は、囲碁の競技性を強調するだけでなく、二人の協力と息の合った連携を際立たせ、AI時代における囲碁の新たな発展に温かな人間味を注ぎ込んでいます。ペア碁は、勝利の喜びを倍増させ、敗北の悲しみを分かち合うことを可能にし、現代世界が掲げる「協力・共存・共有」の精神を囲碁の世界で美しく体現しています。今後、ペア碁は無限の発展を遂げることでしょう。中国囲棋協会は、これまでと同様に、中国そして世界中でのペア碁の普及を力強く支援していきます。

常 昊

中国囲棋協会主席
世界ペア碁協会理事

世界の皆さんがペア碁を楽しめるようになって、35年になりました。急変するAIの時代を迎え、個人の力と同じくらい重要なのは「一緒に考えて一緒に決める力」です。お互いの考えを尊重し、最善の選択をしていく過程は、現代社会が必要とする問題解決のプロセスと間違いなくつながっています。最近はプロ棋士とアマチュアの方がペア碁を打つことが多くなりました。ペア碁は指導碁よりも深い味があり、プロ棋士とアマチュアの方、両方とも満足度が高いです。この小さな盤上から始まる世界が、未来競争力をつくっていくきっかけになることを期待します。

梁 宰豪

韓国棋院事務総長
世界ペア碁協会理事

“おもんばかる”という日本語があります。この言葉は、今とても世界に必要な行為・言葉だと思います。これは、相手のことを思い計る、そしてその思い計る気持ちから日本では“おもんばかる”という言葉が生まれました。ペア碁は、正に“おもんばかる”を磨くゲームだと思っています。ペア碁が世界に広まることによって、世界中の人がもっと他者を思いやり、そして平和に繋がるようなそういう流れが出来ていくことを願っております。

小山 薫堂

放送作家
脚本家

メッセージの内容は2025年12月発行のリーフレット掲載時
棋士のタイトル・段位は2026年4月27日現在

ペア碁をプラットフォームとした
AI研究会

研究会 担当理事

合原 一幸

東京大学 特別教授

アドバイザー

池谷 裕二

東京大学 教授

研究員

平田 智也

八段

研究員

上野 愛咲美

女流名人・女流立葵杯・女流棋聖

顧問研究員

一力 遼

名人・王座・天元・本因坊

日本ペア碁協会は、「勝てば嬉しさ2倍、負けても悔しさ半分」をモットーとして、ペア碁を通して囲碁の地平を広げると共に、その楽しさを増幅させてきました。1990年の創案から35年を迎える今、社会を大きく変えつつあるAIの力を借りて、新たな領域を切り拓きます。

『人工知能はこうして創られる』合原一幸編著
ウェッジ(2017年)

最近の囲碁AIの急速な進歩により、ペア碁がヒトとAIの協調を研究する格好のプラットフォームに成り得ることが、ペア碁創案者の滝久雄と合原一幸東京大学特別教授によって指摘されました(合原編著『人工知能はこうして創られる』、ウェッジ、2017年)。その本格的研究の皮切りとなるのが、東京大学の池谷裕二教授をアドバイザーに迎えて発足した「ペア碁をプラットフォームとしたAI研究会」のプロジェクトです。

ペア碁方式による「囲碁 AI」の研究親善対局

グーグル・ディープマインドによる2016年の囲碁AI「AlphaGo」は、2024年のノーベル化学賞につながる研究へと発展しました。囲碁AIの能力は、すでにトッププロを凌駕しています。この人智を超えたテクノロジーを、どのように活用するべきなのかが、いま問われています。

ドイツの哲学者、ボン大学のマルクス・ガブリエル教授は「AIの脅威は人間による悪用である」と述べ、AIを通じて人間の悪が増強されてしまわないことを説くとともに、倫理に基づく人間的なテクノロジー活用を推奨しています。

「人間とAIはお互いに理解を深め合い、お互いを尊重し、その上でお互いを高め合う存在となるべきである」という理念に基づく今回の研究は、囲碁にとどまらない広がりを持ち、同時にガブリエル教授の言うような人間的なテクノロジーの発展を目指すものです。

当研究会は本プロジェクトを通じ、「人間を補完するAI」「人に寄り添うAI」の一つの形を提示し、新しい学びの形、そして新しい社会像を創造していきます。

研究会を起点とする「ペア碁」の新展開として、当財団内の運営委員会を中心に、人間とAIがペアを組む●●NHプロ(NH=ネオヒューマン)による大会開催等を進めてまいります。楽しく有益な、革新的“eスポーツ”の誕生を目指し、同時に新たなペア碁の可能性を切り拓いてまいります。

数千年の歴史を持つ伝統的ゲームと最新テクノロジーとの共演に、是非ご期待下さい。


池谷 裕二教授からのコメント

本研究会では、ペア碁を通じて人の思考や協調のメカニズムを基礎科学的に探究すると同時に、囲碁の教育的・社会的価値を可視化し、その有益性を広く社会に伝えることで、囲碁文化を豊かにしてゆきたいと考えています。ヒトとAIがともに一局を紡ぐペア碁は、能力競争を超えて、相互補完と共感にもとづく新たな共生様式を試行する場です。本研究会を通じて、ヒトを補完しヒトに寄り添うAIの形を提示し、人間社会の未来像を創造していきたいと思います。

※本プロジェクトを巡るビジネスモデルおよび商標、特許について出願中です。

本文の内容は2025年12月当時
棋士のタイトル・段位は2026年4月27日現在

ペア碁による
認知機能低下抑制効果について

囲碁は、高齢者の認知機能の維持や改善に効果があることがわかってきています。しかし、囲碁は基本的に1対1の真剣勝負であるため対話が生まれにくく、また勝敗への心理的な負担から参加をやめてしまう方も少なくありませんでした。

そこで、こうした課題の解決策として、私たちはペア碁に注目しました。ペア碁は4人で1局を打つため自然と会話が生まれ、交流がとても活発になります。また、「喜び2倍、悔しさ半分」と言われるように、負けても勝敗の負担が軽く、気持ちが楽になります。さらに、ペアの相手の意図を読み取りながら一手を選ぶ必要があり、認知機能への刺激も大きいと考えられます。

私たちは研究として、囲碁未経験の高齢者を対象に、週1回90分、全12回のペア碁入門講座を開講し、参加前後で認知機能や気分の変化などを評価しました。その結果、計画を立てて行動する力(実行機能)が改善する傾向が見られました。
ペア碁では、パートナーの手に合わせて計画をその都度組み直し、相手に配慮しながら自分の一手を決める必要があります。こうした過程が、認知的な柔軟性や計画力の向上に影響した可能性があります。

( Iizuka, Taki et al, Geriatrics and Gerontology International, 2025 )

加えて、参加後には孤独感の有意な軽減が見られました。これは、ペア碁ならではの協働性と、自然に会話が生まれるという特徴が影響した結果だと考えられます。つまり、ペアを組んで協力し合う過程そのものが、人とのつながりや安心感につながったと考えます。さらに、教室内で知り合った参加者のうち約半数が、教室外でも交流を持つようになりました。これは従来の1対1の囲碁では得られにくかった、新たな社会的ネットワークが形成されたことを示しています。

ペア碁には、脳の活性化だけでなく、心の健康や人とのつながりを広げる効果も期待できます。認知症予防、生きがいづくり、地域での交流促進など、さまざまな場面で活用できる可能性があります。何より大切なのは、楽しみながら続けられること。ペア碁には、そんな豊かな時間を生み出す力があると感じています。

飯塚 あい 医師

東京都健康長寿医療センター研究所所属。
囲碁による認知症予防・進行抑制効果、フレイル予防、高齢者の社会参画など、高齢者と囲碁を結びつけた幅広い分野について研究。


ペア碁で若返りを

鳥羽 研二

東京都健康長寿医療センター 名誉理事長

ペア碁は、「実行機能」の維持や向上の可能性が示されました。国際アマチュア・ペア碁選手権大会の荒木杯に出場した経験では(3級程度で大変弱い)参加後の写真は、喜色満面、5歳は若返って見えました。真剣勝負、何歳になってもいいものですね。これもペア碁の効用でしょうか? 相手だけでなく相方と交互に打つ囲碁の頭脳ダブルスは刺激的、未知の魅力に富んでいます。

本文の内容は2025年12月当時

ペア碁は
今後も人をつなぎ
可能性をひらくために
前進していきます