< 2回戦(準決勝)>

プロ棋士ペア碁選手権2010年
鈴木歩四段・山田規三生九段・石井茜初段・坂井秀至七段 鈴木歩四段・山田規三生九段

〈【黒】鈴木歩四段・山田規三生九段 対 石井茜初段・坂井秀至七段【白】〉
 二十四世本因坊秀芳によれば、「黒よし」との判定だったが、結局白の石井・坂井ペアが勝って、決勝進出。敗れた山田に聞くと、「ペア戦は、負けると悔しいですね。一人のときより形勢が揺れ動いて、少し悪くてもまたチャンスが巡ってくるのです。だから、負けちゃうと悔しい」と残念そうだった。早めに終わったので、することがないという。「もう大阪に帰ります。着くころはちょうど夕食時だから、ちょうどいい」仲間を呼んで、残念会をするらしい。

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大澤奈留美四段・井山裕太名人・吉田美香八段・黄翊祖七段 井山裕太名人

〈【白】大澤奈留美四段・井山裕太名人 対 吉田美香八段・黄翊祖七段【黒】〉
二十四世本因坊秀芳は、「白苦戦」の判断。左下で、「白三子の取られ方がひどい」と。予想通り、黒の吉田・黄ペアが決勝進出。敗れた井山名人が席を立とうとすると、ファンが取り囲むようにサインを求める。本や扇子や色紙を用意してあって、井山名人は、「自然」と書き込んでいた。みな休憩に行ってたが、一人だけ残って、なかなか席を離れられなかった。注目の新名人だから、こういうのは仕方ない。サインをするたびにファンが増えると思って、ていねいに応じているのがうれしい。

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加藤啓子六段・羽根直樹本因坊・青木喜久代八段・二十五世本因坊治勲 青木喜久代八段・二十五世本因坊治勲

〈【白】加藤啓子六段・羽根直樹本因坊 対 青木喜久代八段・二十五世本因坊治勲【黒】〉
「白がおかしい」と言われていたが、加藤・羽根ペアが勝利。趙九段は、「青木さんがキャプテンだから、投げるときは青木さんが決めることにしてある」と話していたが、投了の瞬間は見逃した。

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梅沢由香里女流棋聖・高尾紳路九段・桑原陽子五段・結城聡九段 梅沢由香里女流棋聖・高尾紳路九段

〈【白】梅沢由香里女流棋聖・高尾紳路九段 対 桑原陽子五段・結城聡九段【黒】〉
 梅沢由香里女流棋聖は1回戦の内容がよくて、満足していた様子。「息が合っている」と感じて、優勝を狙っていたという。

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井山裕太名人 鈴木歩四段
山田規三生九段 結城聡九段
青木喜久代八段・二十五世本因坊治勲 羽根直樹本因坊
吉田美香八段・黄翊祖七段
プロ棋士ペア碁選手権2010年
プロ棋士ペア碁選手権2010年
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< 決勝戦 >

石井茜初段・坂井秀至七段・対吉田美香八段・黄翊祖七段 石井茜初段・坂井秀至七段・対吉田美香八段・黄翊祖七段

Aブロック
〈【黒】石井茜初段・坂井秀至七段 対 対吉田美香八段・黄翊祖七段【白】〉
 すっかり関西勢に囲まれた黄翊祖七段。「まさか決勝に進めるとは思わなかった」と言っていた。しかし、この碁は敗れて、惜しくも準優勝に終わった。石田九段の解説では、「細かい、どっちもヨセでちょっとずつ損してる」と言っていたが、最後は、「黒が勝ちます。2目半」と断定。ぴったり当たって、石井・坂井ペアが優勝である。局後、坂井七段に、「序盤は白がよかったですよね」と言われて、吉田八段が「いいと思ってた」と応えていた。坂井七段は真面目そのもので、「やり過ぎたかもしれん。なんであんなにいっぺんにおかしくなったのか」と、勝っても反省の弁が続いた。

梅沢由香里女流棋聖・高尾紳路九段・加藤啓子六段・羽根直樹本因坊
加藤啓子六段・羽根直樹本因坊 梅沢由香里女流棋聖・高尾紳路九段

Bブロック
〈【白】梅沢由香里女流棋聖・高尾紳路九段 対 加藤啓子六段・羽根直樹本因坊【黒】〉
 好取組である。やっぱり強い人は、ペア碁も強い。見物のファンが、この碁に集まる。解説会では、「今日は梅沢・高尾ペアのできがいい」と好評。苦しそうなところで、梅沢女流棋聖がめいっぱいの頑張りを見せると、石田九段が、「女性は恐ろしい」と笑わせる。
 梅沢・高尾ペアが勝利。終わってから、梅沢が、「ごめんなさい、序盤ひどくて」と言うと、高尾が、「ぼくが二段にハネちゃったから、ひどかったね」と逆に反省していた。
 高尾と羽根で二人でいい図を作っていると、梅沢が、「うちらはこうはならないよね。意味が分からないものね」と加藤に話しかける。
 梅沢が高尾に、「序盤どうしていいか分からなくて」と嘆くと、高尾はそのころを振り返って、「ぼくがコスミツケたら、不機嫌そうな顔してた」と笑っていた。
 梅沢が、「ここでツケられたら、どうするんですか?」と問うと、高尾は、「羽根さんがツケたら、ぼくの番じゃないと思って安心してた」と打順を勘違いしていて、みんなに、「高尾さんの番ですよ(笑)」と突っ込まれていた。


梅沢由香里女流棋聖・高尾紳路九段・加藤啓子六段・羽根直樹本因坊
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プロ棋士ペア碁選手権2010年
プロ棋士ペア碁選手権2010年
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< 表彰式 >

プロ棋士ペア碁選手権2010年

 財団法人日本ペア碁協会会長松田昌士から、優勝した2ペアに表彰状が渡され、財団法人日本ペア碁協会理事・事務局長滝裕子から花束が贈呈された。

井山裕太名人 石井茜初段・坂井秀至七段・表彰式
石井茜初段・坂井秀至七段・表彰式 石井茜初段・坂井秀至七段・表彰式
梅沢由香里女流棋聖・高尾紳路九段・表彰式 梅沢由香里女流棋聖・高尾紳路九段・表彰式
表彰式
石井茜初段・坂井秀至七段

 石井初段「今回は初出場で1回くらい勝てればいいと思っていましたが、優勝できてうれしいです。新鋭対抗戦で中国に行ってきたばかりなのですが、日本側がひどい成績だったので、ペア戦の世界大会では、ちょっとリベンジしたいです」と言って、大きな拍手を浴びていた。
 坂井七段「一昨日高尾さんと対局して、全然勝ちの碁を冷静さを欠いて負けまして。とんでもない逆転負けで、眠れませんでした。やはり、碁は落ち着いて打たないといけんと思って(笑)。今日はよく碁盤が見えてうまく打てました。中国でも、落ち着き払って打ちたいと思います」

石井茜初段・坂井秀至七段

 あいさつの後も、インタビューを受けていた。
 石井「できるだけ難しいところは坂井さんに」と言って笑顔である。
 坂井「世界大会は、世界の強豪を相手で大変でしょうけど、一人より二人の方が波瀾も起こりやすいですから、息を合わせられたら、なんとかなるかもしれません」
 石井「ペア碁はアマチュア時代にはよく打っていたのですが、やっぱりプロの大会は強い人と組むから緊張しました。世界戦も、とても一人じゃ対局のチャンスもないような、すごい相手ばかりなんですけど、坂井先生がいるので頑張れるかもしれないと思っています」

梅沢由香里女流棋聖・高尾紳路九段

 梅沢「プロになってから、ずっと出場してきましたが、いままで準優勝が一番の成績で、今回も決勝が打てればいいくらいに思っていました。一局打ったら、高尾先生と息が合っていると思って、もしかしたらと期待が膨らみました。そうしたら、優勝できてしまった(笑)。特訓があるそうですから、よく勉強して世界大会も頑張ります」
 高尾「ぼくもほとんど勝ってなくて。今回は一局勝てればいいと思ってました。だれと組んでも勝てなかったぼくを、優勝させていただいて、梅沢先生ありがとう(笑)。世界戦も一人では勝てないので、梅沢さんの力を借りて、ぜひ世界一になりたいですね。」

梅沢由香里女流棋聖・高尾紳路九段

 そのあともインタビューが続いて。
 梅沢「アマチュアのときに世界一になったことがあるので、プロでも世界一になりたい」
 高尾「勝ったときのよろこびは、一人のときでは味わえないものですね。こんなにうれしいことはない。プロになって一番うれしい」
 梅沢「時間つなぎで打った手が、たまたまいい手だったのはラッキーでした」
 高尾「気楽に、ただただ楽しんで打ったのがよかったようです。世界大会でも、この気持ちを忘れずに頑張ります」

梅沢由香里女流棋聖・高尾紳路九段・石井茜初段・坂井秀至七段

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