プロ棋士ペア碁選手権2024

プロ棋士ペア碁選手権2024

トッププロ棋士×伊藤園  スペシャル対談

日本の囲碁界を代表する男女プロ棋士5組10名がトーナメント戦を戦う「プロ棋士ペア碁選手権2024」が3月17日に東京・二子玉川 エクセルホテル東急で開催された。出場棋士の一力 遼棋聖・本因坊・天元と、本大会のスポンサー「伊藤園」のマーケティング本部 緑茶ブランドグループ ブランドマネジャー 安田 哲也さんの「ペア碁×お~いお茶」スペシャル対談を大会前に実施。選手権への意気込みやペア碁の魅力、囲碁やお茶の未来像まで幅広く語り合った。(2024年2月21日収録)

プロ棋士ペア碁選手権2024 3月17日開催
謝依旻・一力遼ペアは本戦第2位に

多くの観戦者が見守るなか、今大会で初めてペアを組んだ謝・一力ペアは息の合った対局を見せ、健闘の結果、本戦第2位となった。

名実ともに日本のトップ棋士たちが集結!
意外な一面を垣間見る「プロ棋士ペア碁選手権」

司会:伊藤園さんも応援しております「プロ棋士ペア碁選手権2024」へのご出場おめでとうございます。

一力 棋聖・本因坊・天元(以降敬称略):ありがとうございます。

司会:タイトル保持者や賞金ランキング上位者のみが出場できる「プロ棋士ペア碁選手権」ですが、一力先生は2015年から連続でご出場されていらっしゃいますね。選手権への意気込みをお聞かせいただけますか。

一力遼 棋聖・本因坊・天元

一力:今年も出場できてうれしいです。まずは見に来ていただける方に楽しんでもらえるような碁を打てればいいなと思います。その上で、これまでに2回優勝させていただく機会がありましたが、今回も結果として一番いいところまでいけたらと思います。

司会:ペア碁は、男女の棋士がペアになって2対2で対局しますが、一力先生が思うペア碁の魅力はどんなところでしょう?

一力:ペアの方とも対局中は意思疎通ができないので、どうしても自分の予想しないような展開になることが多いんです。そういった不確実性といいますか、一対一の勝負では生まれないような変化が起こるところが、ペア碁ならではの醍醐味かなと感じています。目の前の局面により臨機応変に対応していくという感覚は、ペア碁ならではだと思いますね。毎年ペアを組む方が変わるので、そこも毎年楽しみにしています。

司会:今回のペアは、謝依旻(しぇい いみん)さんですね。どんな印象をお持ちでしょうか。

一力:お互いに長い間出場してきたので、これまで組んだことがないのが不思議なのですが、今回初めて組ませていただけるということで非常に光栄に思っています。謝依旻さんには普段から優しくしていただいているので、そういった意味でも気兼ねなく、のびのびやれるかなと思います(笑)。

今回初めてペアを組んだ謝依旻七段と一力遼棋聖(写真は2024年大会)

司会:ペア碁を拝見していると、グイグイ引っ張っていくタイプ、寄り添うタイプなど、通常の対局では見られない棋士の意外な一面を知れるのも楽しみなのですが、一力先生はご自身をどう捉えていらっしゃいますか?

一力:自分としては相手に合わせているつもりなんですけれど、相手の感じ方は違うかもしれません(笑)。ペアの方に聞いてみないと、実際のところはわからないですね。

司会:昨年は私も会場で観戦させていただきました。トップ棋士が集まる会場はどのような空気感なのだろうと少し緊張して伺ったのですが、思いのほかほがらかな空気が流れていて、それもまた楽しかったことを覚えています。

一力:和気あいあいとした雰囲気がありますよね。通常の一対一の勝負だと勝ってもあまり感情を表情に出さないことも多いですけれど、ペア碁の場合は勝っても負けても笑顔が見られます。みんな、結果よりも対局自体を楽しむ気持ちが大きいように感じます。そういった雰囲気も楽しんでいただけたらうれしいですね。

伊藤園が一目置かれる理由
“当たり前”を生み出す開拓精神

安田:本日は、お越しいただきありがとうございます。せっかく伊藤園にいらしていただいたので、お茶を楽しんでいただけたらと思います。普段、お茶は飲まれますか?

一力:はい。対局中も、普段家にいるときも、お茶は飲む機会が多いですね。日本棋院での対局のときは、同じフロアに自販機があるのでよく買いに行きます。それが伊藤園さんの自販機なので、対局中はほとんど「お~いお茶」を飲んでいますね。

伊藤園 マーケティング本部 緑茶ブランドグループ ブランドマネジャー 安田哲也さん

安田:ありがとうございます。緑茶は対局の最中に飲む飲料としてもおすすめです。「お~いお茶」が一力さんの対局のお供になっているのはうれしいですね。ちなみに、「お〜いお茶」にもいろいろ種類がありますが、お好みのものはありますか?

一力:このスタンダードな「お~いお茶 緑茶」(600ml)を一番飲みますが、「お~いお茶 濃い茶」や「お~いお茶 ほうじ茶」もよく手に取ります。種類のこだわりはあまりなくて、そのときの気分次第でしょうか。1本目は「緑茶」を飲んだから2本目は「ほうじ茶」という感じで、飲み終わったら違う種類を選ぶことが多いかもしれません。最近460mlサイズの「お~いお茶 緑茶」もよく持ち歩いています。

安田:昨今のお茶飲料のメインサイズは600mlが中心ですが、短時間で飲んでいただける、小さい鞄にも入るため持ち運びがしやすいという点から、弊社では昨年460mlのスマートスリムボトルを採用して発売しました。持ち歩いていただけてうれしいです。ちなみに、容量によってお茶の中身も少しずつ変えているんですよ。

一力:えっ、同じ「お〜いお茶」でも中身が違うんですか?

安田:はい。例えば、ペットボトル容器の中で一番小さい195mlは、すぐに飲み切れる量なので飲みごたえのあるお茶にしています。濃いか薄いかで言えば、濃いめのお茶ですね。逆に2Lですと、ご家庭でグラスに注いで氷を入れて飲まれることも少なくない。氷によってお茶が薄まるということを想定してやや渋みを効かせ、コップで飲んでいただくシーンに合う味わいにしています。

一力:そうなんですね、知りませんでした。すごいきめ細やかに考えられているんですね。容量が違うだけかと思っていました。

安田:お客様からしたらどれも同じ「お〜いお茶」ですので、大きく味わいが異なってしまってはいけません。飲み切ったときの印象は同じものになるように。シーンにあった美味しさを提供しつつも、味の違いはできる限り感じさせないということも大切にしています。

一力:すごくかんがえられていますね。今回、初めて知りましたが、ペットボトル入りの緑茶飲料を世界で初めて作られたのも伊藤園さんなのだそうですね。

安田:ありがとうございます。実は、伊藤園ではペットボトル容器を発売する前、1985年に「缶入り煎茶」を発売したのですが、これも世界初でした。お茶は非常に酸素に弱く繊細な部分があり、通常は時間が経つと色が変わってしまいます。そういった課題をクリアするのに約10年の年月がかかりました。その後1990年には世界で初めてペットボトルの緑茶飲料を発売し、1996年には業界で初めてお茶飲料の500mlペットボトルを発売してからよりたくさんの方に飲んでいただけるようになりました。一力先生は97年生まれなので、生まれた時からペットボトルのお茶がある世代ですね。

一力:そうですね。ペットボトルのお茶があるのは当たり前という感覚でしたね。でも、そうではなかったんですね。伊藤園さんが作ってきた歴史と、素晴らしい開拓精神を感じました。常に現状に甘んじることなく、さらなる成長を目指す姿は見習いたいですね。

“若者離れ”の加速を止めるために
遠い未来を見据えて一石を投じる

安田:現在の伊藤園の課題のひとつとして、若い世代へのお茶の啓蒙があります。一力先生の周りにいる同世代の方は、お茶を飲まれますか?

一力:自分の周りは棋士が多いので、お茶を親しむ人が多いですが、同じぐらいの世代を客観視してみると、比較的少ないのかなという印象は受けます。

安田:囲碁の世界はどうですか。

一力:そうですね。今活躍している棋士は20代~30代が中心で、中には10代の棋士もいますが、やはり世間一般の見方としてはシニアの方が楽しむ娯楽のイメージがまだまだ強く、実際に碁会所が少なくなっていたり、囲碁人口も年々減っています。まずはそのイメージを変えていくことが大切なのかなと感じています。
 既存のイメージを変えるって大変なことだけれど、何かきっかけさえあれば変わると思うんです。それこそ、急須で淹れていたお茶をペットボトルで飲むことが普通になったように。すぐに変えるのは難しいから、10年、20年経ったときに変わっていればいいのかなと長い目で考えています。
 あまり広まっていないかもしれませんが、最近は若い人たちが囲碁界を引っ張っていこうとする動きが少しずつ出てきています。若い人主導で企画を立てたり、イベントを実施したり。自分の場合は月1回囲碁のコラムを書いていますが、X(旧Twitter)で発信する棋士も増えています。今回のペア碁のような大会もそうですが、イベントやSNSをきっかけにまずは囲碁や棋士を知って、身近に感じてもらえたらうれしいかなと思います。

安田:“身近に感じる”ということはすごく大切だと思っています。今年の3月4日にリニューアル発売した「お~いお茶 〇やか(まろやか)」は、若い方にお茶を手に取っていただけるきっかけになればと開発した商品です。
 急須のお茶を飲まれる方はシニア世代、ペットボトルのお茶飲料は40代から50代がメインの飲用層です。そのため、普段お茶を飲まれない若い方にも飲んでいただきたいという思いから、大学生と一緒に味やパッケージを作り上げました。これまでの「お〜いお茶 緑茶」と比べると、渋みが少なくあまみやうまみがしっかり感じられる味わいにしています。

一力:いただきます。あ~、美味しいですね。確かにごくごく飲めるといいますか、飲みやすい印象を受けます。

安田:プロモーションも若者向けに企画しているので、少しでも手に取ってくれる方がいればうれしいですね。お茶を飲む回数を増やすことも目指しています。

一力:先ほどおっしゃられたように僕らの世代って、昔流行ったものや古いものを新しいと感じる世代。改めて“急須で淹れる”楽しさを伝えれば、お茶の魅力が広まるのではと素人ながらに思いました。以前、茶道体験をしたことがありまして、点てるだけでなく、一連の作法を体験できたことが非常に楽しかったので、楽しい“急須体験”ができたら、きっかけになるかもしれません。

安田:実は伊藤園では「理想の急須」というものもつくっています。お茶を美味しく淹れられて、手入れが簡単で割れません。

一力:おぉ(笑)。

安田:お湯で美味しく淹れるにはちょっと技が必要なんですけれど、誰でも簡単に美味しく淹れられる「氷水出し」という淹れ方もぜひ覚えて帰ってください。いつもより1.5倍の茶葉を急須に入れて、氷を入れ、水を注ぐだけです。お茶はお湯で淹れなければならないという固定概念が強くありますが、少しずつ「氷水出し」の認知が広まっています。

一力:急須の中のお茶の色が見えるのもいいですね。親指でふたを抑えて片手で注げるのもいい。確かに理想(笑)。

安田:ティーバッグでもOKです。

一力:ティーバッグでできると一気にハードルが下がりますね。今度トライしてみます。

AIの登場で新たな局面へ
さらなる躍進の布石となる

一力:囲碁界では、7、8年前に人より強いAIが出てきてから、従来の概念がガラッと変わりました。それまでは強い棋士・トッププロが直接、指導するのが主流だったんですが、現在ではほとんどの棋士がAIを使って学んでいます。その辺の動きは、どんどん大きくなってきているのを感じています。伊藤園さんもAIタレントを日本で初めてTVCMに起用するなど、新たな取り組みをされていますよね。

4月1日リニューアル
お~いお茶 カテキン緑茶サイト 詳細はこちら

安田:ご覧いただきありがとうございます。そのCMで紹介する「お〜いお茶 カテキン緑茶」は、以前からある商品で昨年の9月にリニューアルしました。その際、商品のパッケージに、茶葉の生命力を表すため生成AIを活用したデザインを採用しています。CMでは、飲み始めるなら「今」であることを伝えるために、現在の自分と約30年後の未来の自分を表現する必要がありました。AIタレントはこのコンセプトをお客様に伝えるうえで最適な手段であると考えて、起用したんです。一力さんがおっしゃるようにすごく話題になったCMですね。

一力:そのCMを初めて見たときはAIタレントと知らなくて普通に見てしまったんですが、その後ニュースやネットで話題になっていて、とても驚いたのが印象的でした。言われるまで全然AIだと気づかなかった。加えて、失礼かもしれませんが、AIと伊藤園さんの組み合わせが結びつかず、ギャップがあったのも理由かもしれません。

安田:伊藤園らしくないというイメージがあったようですね。でも、実はお茶の生産にもAIを活用しはじめています。例えば、伊藤園が展開する茶産地育成事業(※)の契約産地の一部では、AIの画像解析による茶葉の摘採時期を判断する技術の試験運用を行っています。お茶は摘み取る日が1日前後するだけで品質が大きく変わってしまうため、人の目や経験に基づいて摘採時期を判断しています。最終的には人が判断することが必要ですが、AIを活用することで人手も時間も効率よく運用できます。

(※)茶産地育成事業とは 詳細はこちら  

一力:最終的には人という部分や、効率よくという部分に共感を覚えます。囲碁もAIの登場で、これまでの囲碁界で常識とされてきた打ち方や考えが通用せずに、イチから考え直さなくてはいけない局面に来たのだと感じています。AIを正解とするのではなく、これまでになかった考えや感覚に向き合い活用することで、新たな道を見つけていきたいと思っています。

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