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【大会特別記事】東横線綱島駅の囲碁サロンで紡がれる縁 上野姉妹と藤森さんが語る『囲碁でつながる挑戦と交流』

東急東横線『綱島駅』は、渋谷から約20分、横浜駅から約10分という好立地にある。駅前にはアーケード商店街『綱島商店街』が広がり、老舗の和菓子店、地元密着の八百屋、純喫茶、古くからの居酒屋、お洒落なカフェやベーカリーまで多彩な顔を持つ。

『綱島ラジウム温泉』の歴史も有名で、かつて『東京の奥座敷』と称され、昭和初期には多くの文人や著名人が訪れた名湯として知られた。関東大震災後には放射能泉の効能が評判を呼び、湯治客や行楽客で賑わい、街の経済を支えてきた歴史がある。現在は温泉街そのものは姿を消したが、名残を伝える地名や記憶が今も街の随所に息づく。昔ながらの人情味と新しい風が交わる、歩くだけで物語が生まれる街だ。

その綱島駅近くのビルの一角に、初心者からプロ志望者までが集う囲碁の交流拠点『横浜囲碁サロン』がある。2004年の創業以来、誰でも気軽に訪れられる碁会所として愛され、広々とした48席のスペース、無料Wi-Fi、冷暖房完備といった快適さが特長だ。

教室では子どもから大人まで楽しめるコースを用意し、初心者向けのルール講座から中・上級者向けの実践対局まで幅広く対応。年齢やレベルに応じたきめ細やかな指導で、初めての方も安心して囲碁に親しめる。アクセスの良さから横浜市内外の愛好者やプロも多く集い、囲碁の裾野を広げる拠点となっている。

今回は横浜囲碁サロンの藤森さんに話を伺うが、スペシャルゲストとして上野姉妹が駆けつけてくれた。姉の上野愛咲美女流名人・女流立葵杯、妹の上野梨紗女流棋聖・扇興杯、ともに若手囲碁界を代表する実力者で、史上初、姉妹揃って世界戦優勝を飾る。明るく仲の良い姉妹としても知られている。( 記事の内容は2025年7月掲載当時)

20年続く囲碁への情熱と育成の場

横浜囲碁サロン 代表 藤森稔樹さん

―― サロンを始めたきっかけは?

藤森さん

藤森さん)当初はプロを目指す子供たちの育成のために始めました。自分が若い頃、師匠や仲間に支えられたような場を作りたいと思ったのがきっかけです。

―― 上野姉妹との出会いは?

藤森さん

藤森さん)彼女たちがまだ小学生の頃、夏休みの合宿イベントで出会いました。囲碁の勉強だけじゃなく、外で遊んだり、そうめん流しをしたり。笑い声が響く時間が、今も記憶に残っています。

―― 育成で大切にしてきたことは?

藤森さん

藤森さん)勝負の厳しさだけでなく、囲碁を楽しむ心。勝っても負けても『面白かった』と思える体験を積み重ねてほしいと思っています。

上野姉妹が語る、日本から世界へ

妹の上野梨紗 女流棋聖・扇興杯 と 姉の上野愛咲美 女流名人・女流立葵杯

―― 囲碁をはじめたきっかけは?

愛咲美さん

愛咲美さん)集中力がつき受験等にも役立つからと祖父のすすめで4歳の時に始めました。やってみたら楽しくて、強い相手と戦いたい、勝ちたいという気持ちにどんどんなりました。

梨紗さん

梨紗さん)姉の囲碁教室に連れられ、1歳の頃から囲碁は身近な存在でした。最初は好きかどうか自分ではわからなかった位、自然と自分の中に囲碁がありました。

―― 世界で戦った経験を教えて

愛咲美さん

愛咲美さん)世界の強豪棋士との対局はとてもよい経験になりました。支えてくれた皆様に感謝しています。強くなればなるほど、囲碁は奥深いし、学ぶことも多い。相手が強ければ強いほど、わくわくします。

梨紗さん

梨紗さん)世界戦優勝は自分でも信じられない気持ちでした。姉と同じ実績を残せてとても嬉しかったです。これからも世界でも活躍できるよう、日々勉強・研究をしていきます。

―― 浴衣姿で囲碁サロンに来るのは?

梨紗さん

梨紗さん)浴衣で碁盤に向かうのは初めてで不思議な感じでした(笑)。最初は『ちょっと恥ずかしいかも』と思ったけど、盤の前に座ったら自然と集中しちゃって、『あれ、普段の私たちと変わらないね』って笑い合ってました。

『碁石を持つとスイッチ入るね(笑)』、『でも今日はのんびりできてリラックスした!』と姉妹は終始笑顔で話し、藤森さんに『今日は勝負じゃなくて交流だからね』と茶目っ気たっぷりに言われて『それなら良かった〜!』と笑い合う場面もありました。

普段の対局では見せないリラックスした表情や、互いにボケとツッコミを繰り返す姉妹らしさが、周囲の空気を和ませていました。

姉妹と藤森さんが語る挑戦の舞台裏

―― 藤森さんのYouTubeについてどう感じていますか?

梨紗さん

梨紗さん)最初の配信共演は緊張しました。でも藤森さんが場を和ませてくれて、だんだんリズムがつかめました。当時13歳でYouTube配信に出たときは、正直どうなるか不安だったけど、実況がうまくて助けられました! めちゃめちゃ説明上手だったし、私たちもつられて喋りすぎちゃったかも(笑)。

―― 囲碁の魅力ってたくさんあると思いますが、どうですか?

愛咲美さん

愛咲美さん)シンプルに見えて奥が深く、盤上の駆け引きも面白いですが、打ち終わった後の『ここはこうすればよかった』と語り合える時間も魅力です。

―― 今後、囲碁の普及ということも含めて、こういう場が増えたら嬉しいとか、ありますか?

梨紗さん

梨紗さん)もっと気軽に囲碁を始められる場が増えてほしいです。横浜囲碁サロンのような、真剣さと温かさが共存する場所が広がると素敵ですね。

藤森さんが見つめる未来

―― 横浜囲碁サロンの未来とは

藤森さん

藤森さん)囲碁を通じて人と人がつながり、誰かの人生の思い出の場所になれたら嬉しいです。子どもの頃に来た人が大人になってまた顔を出してくれる、そんな場所であり続けたいですね。これからも挑戦を続け、縁を広げていきたいです。

碁石の打つ音、盤を囲む笑顔、勝負後の穏やかなひととき。浴衣姿で碁盤を囲む姉妹と藤森さんの笑顔は、世代や立場を超えた『縁』そのもの。横浜囲碁サロンはこれからも、人と人をつなぎ、新たな物語を紡いでいく。

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主催

日本ペア碁協会 / ペア碁ワールドフェスティバル2025 大会実行委員会